まず確認:社内のサーバーは本当に2016か
「サーバー」とは、社員のパソコンから共有して使うファイル置き場や、販売管理・生産管理などの業務ソフトを動かしている専用のコンピューターのことです。事務所の奥やラックの中で24時間動いている機械がそれにあたります。まずは、そのサーバーのOS(基本ソフト)のバージョンを確認しましょう。
画面で確認する方法(専門知識は不要です)
サーバーに管理者としてログインできる方であれば、次のいずれかの方法で確認できます。
- winver で確認:キーボードの「Windowsキー」と「R」を同時に押し、表示された欄に
winverと入力して Enter を押します。小さな画面に「Windows Server 2016」などの名前とバージョンが表示されます。 - システム情報で確認:同じく「Windowsキー」+「R」で
msinfo32と入力すると「システム情報」が開きます。「OS名」の欄に製品名が表示されます。 - サーバーマネージャーで確認:サーバーにログインすると自動的に開くことが多い「サーバーマネージャー」の「ローカルサーバー」を選ぶと、「OS のバージョン」の欄に製品名が表示されます。
ビルド番号が「14393」と表示されていれば Windows Server 2016 です。
ログインできない・よく分からない場合
サーバーの管理を外部の業者に任せている場合は、「社内のサーバーすべてについて、OSの種類とバージョンを一覧で教えてほしい」と依頼するのが確実です。購入時の納品書や見積書、保守契約書に機種名とOSが記載されていることもあります。
サーバーは1台とは限りません。ファイルサーバー、業務ソフト用サーバー、勤怠や入退室管理の機器を管理するサーバーなど、目的ごとに分かれていることがあります。また、1台の機械の中で複数のサーバーを動かす「仮想化」という仕組みを使っている場合、見た目は1台でも、中に2016が含まれていることがあります。「全部で何台(何個)あって、それぞれ何のOSか」まで確認してください。
「サポート終了」で起きること・起きないこと
サポート終了と聞くと「その日からサーバーが動かなくなる」と心配される方がいますが、そうではありません。具体的には次のとおりです。
| 起きること | 起きないこと |
|---|---|
| マイクロソフトからセキュリティ更新プログラム(弱点を修正する部品)が提供されなくなる | サーバーが止まる、起動しなくなる |
| 新しく見つかった弱点が、修正されないまま残り続ける | 保存してあるデータが消える |
| マイクロソフトの技術サポート(問い合わせ対応)が受けられなくなる | 業務ソフトが即座に使えなくなる |
| 業務ソフトや周辺機器のメーカーが「動作保証外」とすることが増える | ライセンス違反になる |
つまり、1月12日を過ぎても見た目は何も変わらないまま、守りだけが徐々に弱くなっていくのがサポート終了の実態です。だからこそ後回しにされやすく、気づいたときには被害が出ていた、ということになりがちです。
そのまま使い続けた場合のリスク
サポートが終わったサーバーを使い続けると、次のようなリスクが時間とともに大きくなります。
1. ウイルス・ランサムウェアの被害
サポート終了後に見つかった弱点は修正されません。攻撃する側は、修正されない弱点があることを知っているため、狙われやすくなります。特にファイルサーバーは社内の重要なデータが集まっているため、ランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求するウイルス)に感染すると、業務が長期間止まるおそれがあります。
2. 業務ソフトや機器のサポートも受けられなくなる
販売管理や会計などの業務ソフトのメーカーは、OSのサポート終了に合わせて「2016上での動作はサポート対象外」とすることが一般的です。不具合が起きても「まずOSを新しくしてください」と言われ、対応してもらえない可能性があります。
3. 取引先や監査からの指摘
大手の取引先との取引では、セキュリティ対策の状況を確認するアンケートやチェックシートの提出を求められることがあります。サポートが終わったOSを使い続けていると、その説明に困ることがあります。
4. ハードウェア自体の老朽化
Windows Server 2016 が入ったサーバーは、2017〜2019年ごろに導入されたものが多く、機械としても7〜9年が経っていることになります。メーカーの部品保守期間が終わっていると、ハードディスクや電源が壊れたときに修理できず、OSの問題とは別に業務が止まる可能性があります。
取れる選択肢と、それぞれの向き不向き
対応方法は大きく分けて4つあります。どれか1つを選ぶというより、サーバーの役割ごとに組み合わせるのが一般的です。
| 選択肢 | 内容 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 新しいWindows Serverへ移行 | Windows Server 2022 または最新の Windows Server 2025 に入れ替える | 社内に置く必要のある業務ソフトや機器がある | 業務ソフトが新しいOSに対応しているか要確認。機器の手配に時間がかかることがある |
| クラウドへ移行 | サーバーの役割をクラウド上のサーバーやサービスに移す | ファイル共有やメールなど、クラウドの定番サービスで置き換えられる | 回線の速さ、月額費用、社内機器との連携を事前に確認する必要がある |
| ESU(拡張セキュリティ更新)を購入 | 有償で、最大3年間セキュリティ更新を受け取る | 移行が期限に間に合わない、または数年内に業務ソフトの入れ替えを予定している | あくまで時間を稼ぐ手段。費用がかかり、購入条件もあるため早めに販売店へ確認する |
| サーバー自体をなくす | 業務ソフトをクラウド版に切り替え、社内サーバーを廃止する | 業務ソフトのメーカーがクラウド版を提供している | 業務の進め方や帳票が変わることがある。データ移行の範囲を確認する |
最初に確認すべきは「業務ソフト側の対応状況」
どの選択肢を取るにしても、カギになるのはサーバーの上で動いている業務ソフトです。OSだけ新しくしても、業務ソフトが対応していなければ動きません。メーカーや販売店に、次の点を問い合わせてください。
- Windows Server 2022 / 2025 での動作に対応しているか(対応バージョンはどれか)
- 対応のために業務ソフト自体のバージョンアップが必要か、その費用はどのくらいか
- クラウド版やクラウド環境での動作に対応しているか
- データ移行の作業を誰が行うか(メーカー・販売店・自社)
- Windows Server 2016 上での動作サポートはいつまでか
- 開発元がすでにない、またはサポートが終わっている業務ソフトではないか
なお、業務ソフトの開発元がすでになく、新しいOSへの対応ができない場合は、移行の方法そのものを検討し直す必要があります。この場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。
同じサーバーのSQL Server 2016は2026年7月に終了済み
業務ソフトの多くは、データを保存するために「データベース」というソフトを使っています。マイクロソフトの SQL Server はその代表例で、Windows Server 2016 と同じ時期に導入されたサーバーでは、SQL Server 2016 が一緒に入っていることがよくあります。
SQL Server 2016 の延長サポートは、2026年7月14日にすでに終了しています(有償の拡張セキュリティ更新の対象です)。つまり、OSより先にデータベース側のサポートが切れている状態です。業務ソフトのメーカーに問い合わせる際は、データベースの種類とバージョンもあわせて確認し、OSとデータベースを一緒に移行する計画を立てると二度手間を避けられます。
同じ時期に導入した機器はほかにもサポート期限が切れている可能性があります。Office 2016/2019 と Exchange Server 2016/2019 は2025年10月14日に、Windows 10 も同日にサポートが終了しています(Windows 10 には法人向けに有償で最大3年の ESU があります)。サーバーの確認とあわせて、社員のパソコンも見直しておくと効率的です。最新の情報は、マイクロソフト公式の「製品のライフサイクル」ページで確認してください。
残り3か月の現実的なスケジュール
2026年10月から始める場合、年末年始の休業期間を挟むため、実際に作業できる期間は見た目より短くなります。新しいサーバーへ入れ替える場合の、一般的な目安となるスケジュールは次のとおりです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10月中旬まで | サーバーの台数・OS・役割・中で動いている業務ソフトを一覧にする。保守業者と業務ソフトのメーカーに対応状況を問い合わせる |
| 10月下旬〜11月上旬 | 移行先(新サーバー・クラウド・ESU)を決め、見積もりを取って発注する。機器の納期を確認する |
| 11月中旬〜12月上旬 | 新しい環境の準備。業務ソフトのインストールと、テスト用データでの動作確認 |
| 12月中旬 | 現場の担当者に実際の業務の流れで操作してもらい、帳票や印刷、他の機器との連携を確認する |
| 年末年始の休業期間 | 業務が止まる期間を使って本番データを移行し、切り替える |
| 1月上旬(12日まで) | 新しい環境で業務を再開し、問題がないか確認。古いサーバーはデータを消去したうえで停止・廃棄する |
このスケジュールは、業務ソフトが新しいOSにそのまま対応している場合の目安です。業務ソフトのバージョンアップが必要な場合や、サーバーが複数台ある場合は、さらに時間がかかります。10月中に方針が決まらないと、1月12日までの切り替えは難しくなると考えてください。
年末は保守業者や業務ソフトのメーカーにも同じような依頼が集中します。サーバー機器の納期が延びることもあるため、問い合わせと発注はできるだけ早く行ってください。年末年始に切り替えを予定する場合は、業者の対応日程も事前に押さえておきましょう。
間に合わないときの暫定対策
業務ソフトの対応待ちや予算の都合で、1月12日までに移行が終わらないこともあります。その場合は、移行が終わるまでの間のリスクをできるだけ小さくしておきましょう。
- ESU の購入を検討する:移行完了までの期間だけセキュリティ更新を受け取る方法です。購入条件や手続きに時間がかかることがあるため、販売店への確認は早めに行います。
- インターネットとのつながりを減らす:サーバーから外部へ直接アクセスする設定や、外部からサーバーへ接続できる設定(リモート接続など)を見直し、不要なものは止めます。
- バックアップを社外・別の場所にも取る:ランサムウェアはネットワークでつながったバックアップも暗号化することがあります。サーバーとつながっていない場所にも定期的に保存しておきます。
- 移行完了の期限を社内で決める:「サポート終了後も動いているから」と移行が先延ばしにならないよう、完了時期と担当者を明確にしておきます。
暫定対策はあくまで「移行が終わるまでの時間稼ぎ」です。サポートが終わったOSを安全に使い続ける方法はない、という前提で計画を立てることが大切です。
まとめ
- Windows Server 2016 の延長サポートは2027年1月12日(日本時間)に終了。2026年10月時点で残りは約3か月
- winver・システム情報・サーバーマネージャーでバージョンを確認できる。台数と仮想化されたサーバーも含めて把握する
- サポート終了後もサーバーは動くが、セキュリティ更新が止まり、リスクが徐々に大きくなる
- 選択肢は新OS(2022/2025)への移行・クラウド移行・ESU・サーバーの廃止。まず業務ソフト側の対応状況を確認する
- SQL Server 2016 はすでに2026年7月14日にサポート終了。OSと一緒に移行計画を立てる
- 年末年始を挟むため、10月中に方針を決めないと期限内の切り替えは難しい。間に合わない場合は ESU やネットワークの見直しで備える
- Windows Server 2016 のライフサイクル(Microsoft)
- 2027 年にサポートが終了する製品(Microsoft)
- SQL Server 2016 のライフサイクル(Microsoft)
- Windows 10 Home and Pro のライフサイクル(Microsoft)
- 2025 年にサポートが終了する製品(Microsoft)
※ 製品のサポート期限や制度は変わることがあります。最新の情報は各公式ページでご確認ください。